婦人科の電話対応で予約の取りこぼしを防ぐ方法|受付の型と測り方

このコラムは、マイセレが医療機関の集患を支援してきた実績から得た独自の知見をもとに、編集部が書いています(編集方針)。公的な統計や資料の数字は、出典を明記しています。
診療時間中は電話が鳴りやまず、受付が手いっぱいになる。かけ直しても話し中で、あきらめて別のクリニックに電話する患者さんもいるのではないか。婦人科の電話対応と予約の仕組みに、そんな不安を感じている院長・事務長もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論から言うと、電話を減らすのではなく、電話以外の予約の入口を用意して、電話でしか受けられない人に受付の手を残すことが、取りこぼしを防ぐ基本の考え方です。そのうえで、取りこぼしの量を着信数や予約完了率で測り、数字を見ながら直していきます。この記事では、離脱が生まれる理由、対策の選択肢、婦人科ならではの配慮、測り方、ツール選びの観点を整理しました。
個人情報の扱いと電話番号の計測は、個人情報保護委員会とGoogleの公式の資料を開いて確認した範囲だけを書いています。
電話予約の取りこぼしは、電話以外の入口を足し、数字で測りながら直すことで減らせます。効果の大きさは院ごとに違い、保証はできません。
- 離脱は「つながらない」「営業時間外」「混雑する時間帯」「電話で言いにくい」の4つの場面で生まれる
- 対策は、ネット予約・LINE予約・自動音声・時間帯分け・24時間の予約フォーム・折り返しから、院の体制に合うものを組み合わせる
- 測る数字は、着信数・不在着信・予約完了率・電話からWebへの移行率。定義を決めて毎月同じ方法で記録する
婦人科の電話対応で予約の取りこぼしが生まれる理由
電話での予約は、患者さんにとってもクリニックにとっても慣れた方法です。ただ、その入口が1本だけだと、電話が使えない場面で予約そのものが消えてしまいます。ここでは、離脱が生まれる4つの場面を整理します。

電話がつながらない
話し中が続いたり、長く待たされたりすると、患者さんはその場で別の医療機関を探しはじめます。電話がつながらない時間は、予約の機会が見えないまま失われている時間です。受付に出られなかった着信は、電話機の履歴にしか残らないため、院内では気づきにくい取りこぼしです。
営業時間外と休診日
仕事や家事の合間、夜になってから受診を考える人は少なくありません。そのとき電話が受け付けていなければ、翌日にかけ直してもらえるとは限りません。予約できない時間が長いほど、他の選択肢に流れる余地が大きくなります。これは編集部の見立てで、割合を示す公的な数字は今回確認した資料には見当たりませんでした。
混雑する時間帯に集中する
診療の開始直後や昼休み明けなど、着信が特定の時間に集中する院が多いようです。受付は来院した患者さんの対応と電話を同時に受けるため、どちらかが手薄になります。電話の対応が長引くほど、次の着信に出られなくなるという悪循環も起こりえます。
電話で症状を話しづらい人がいる
婦人科では、生理や性に関わる悩み、妊娠の可能性など、声に出して伝えにくい内容があります。受付に聞かれるのが恥ずかしいと感じ、電話をかける前にあきらめてしまう人もいると考えられます。これも編集部の見立てですが、電話だけで受ける体制では、こうした人に届きにくくなります。
たとえば、朝いちばんの開院直後に着信が重なり、受付が窓口の患者さんの会計をしながら電話に出ている状況を考えてみてください。不在の履歴は夕方まで確認されず、折り返したときには別の院で予約を済ませていた、ということが起こりえます。
婦人科の電話対応と予約の取りこぼしを防ぐ対策の選択肢
対策は、電話の外側に入口を足すものと、電話の中身を整えるものに分けられます。院の体制と患者層によって合うものが違うため、1つに決め打ちせず、組み合わせを考えます。
電話以外の入口を足す
1つ目は、ネット予約や予約フォームのように、時間を選ばず受け付けられる入口です。営業時間外にも予約を受け付けられるため、夜間に受診を考えた人を受け止められます。2つ目は、LINEからの予約です。普段使っているアプリで完結するため心理的な負担が軽く、予約後の連絡にも使えます。導入の進め方は、LINE予約の導入の進め方で整理しています。
電話の中身を整える
3つ目は、自動音声(IVR)です。「予約の方は1を」のように振り分け、予約の電話に受付が集中して取られないようにする方法です。4つ目は、電話予約の受付時間を分ける方法で、予約の電話は診療前後に、問い合わせは別の時間にと決めると、受付の負担が平らになります。
5つ目は、出られなかった着信への折り返しの運用です。折り返しの担当と時間帯を決めておけば、不在着信を取りこぼしで終わらせずに済みます。
| 選択肢 | 受け止められる場面 | 導入前に確認したいこと |
|---|---|---|
| ネット予約・予約フォーム | 営業時間外、電話が混む時間帯 | 予約枠と電子カルテや予約台帳の連携、患者さんに入力してもらう項目 |
| LINE予約 | 営業時間外、電話に抵抗がある人 | 予約方法のルール、通知の運用、個人情報の扱い |
| 自動音声(IVR) | 混雑する時間帯 | 案内文の長さ、電話口で迷う人への逃げ道を用意すること |
| 電話予約の時間帯分け | 混雑する時間帯 | 案内の周知、時間外にかけた人への代わりの入口 |
| 折り返し | つながらなかった着信 | 担当者と時間、不在着信の履歴を見る頻度 |
どれから始めるか
迷う場合は、現状の電話の取りこぼしの大きさを測ってから決めるのが安全です。まず不在着信の件数を数え、予約の入口を1つ足すところから始めると、変化を確かめやすくなります。入口を増やすなら、診察を受ける人が予約までに迷わないよう、ホームページの導線もあわせて整えます。作り方の全体像は、婦人科のホームページ作成の進め方をご覧ください。
婦人科の予約で電話対応が苦手な人に向けた非電話の導線
婦人科では、電話そのものが受診へのハードルになる場合があります。ここでは、電話を使わずに予約や相談に進める道筋を、どう用意するかを整理します。
予約の入口を見つけやすくする
ホームページのトップと診療案内のページに、予約ボタンを見やすく置きます。電話番号だけが大きく載っていて、ネット予約やLINEの案内が奥にあると、非電話の入口があっても気づかれません。予約の方法が複数あることを、ひと目で伝えましょう。
症状の入力は最小限にする
予約フォームやLINEで症状を書いてもらう場合は、書きたくない人もいることを前提にします。たとえば「診察を希望する理由」を任意にし、選択式にする方法があります。症状や病歴は要配慮個人情報にあたる場合があります。取得するときの考え方は、あとの章でまとめます。
女性スタッフや診察の流れを伝える
初診の流れ、診察室での内診の有無、女性医師やスタッフの在籍など、不安に答える情報を予約の前に出しておくと、予約へのためらいが和らぐことがあります。女性医師が在籍する場合の見せ方は、女性医師を探す患者さんへの伝え方の記事でも解説しています。
医療広告ガイドラインの対象になるため、「痛くない」「絶対に安心」のような断定や、他院との比較の表現は予約案内にも使えません。案内文は事実を簡潔に書いてください。
婦人科の電話対応で予約を受ける受付スタッフの応対の型
電話の応対は、細かな台本を覚えるより、毎回同じ順番で確認する型を持つほうが続きます。ここでは、要点だけを整理します。
予約の電話で確認する順番
- はじめに、予約か問い合わせかを聞き分ける
- 予約なら、希望日時と、初診か再診かを確認する
- 症状は、診察に必要な範囲だけを聞き、詳しい内容は診察で聞くことを伝える
- 最後に、確定した日時と持ち物、キャンセルの連絡方法を復唱する
話しにくそうな相手への声かけ
声が小さかったり、言いよどんでいたりしたときは、無理に聞き出さず、診察で医師に話せばよいと伝えます。電話口で話しにくければ、ネット予約やLINEからでも予約できることを案内できると、患者さんの逃げ道になります。
個人情報を扱うときの注意
厚生労働省と個人情報保護委員会が示している、医療・介護関係事業者向けのガイダンスのQ&Aには、電話による問い合わせで、相手と患者の関係が十分に確認できない場合は、情報提供を限定することも考えられるという考え方が示されています。これは災害時の問い合わせを想定した回答ですが、日常の電話でも、患者さん本人かどうか分からない相手に診療の内容を答えない、という判断の参考になります。院内で、確認の手順を決めておくと迷いません。
院内で実践するなら、予約電話の確認項目を4行のメモにして、受付の電話のそばに貼ってみてください。誰が出ても同じ順番で聞けるようになり、聞き漏れも減ります。
婦人科の電話対応と予約の取りこぼしを測る方法
対策は、取りこぼしの大きさが分からないと効果を確かめられません。ここでは、4つの数字の定義と、記録のしかたを示します。定義は編集部が整理した例で、院の仕組みに合わせて決めて構いません。

着信数と不在着信
着信数は、期間内に電話がかかってきた件数、不在着信は、そのうち受付が出られなかった件数です。電話機や電話サービスの通話履歴で数えます。不在着信を着信数で割った割合を見ると、取りこぼしの規模をつかめます。同じ番号が短時間に何度もかけてきた場合は、1人として数えるかどうかを、最初に決めておきます。
予約完了率
予約完了率は、予約を希望した連絡のうち、予約が確定した割合です。電話は受付簿や予約台帳、ネット予約は管理画面から件数を取り、同じ表にまとめます。予約の希望があったのに確定しなかった件数を記録しておかないと、分母が分からなくなるため、希望の段階から数えるルールにします。
電話からWebへの移行率
電話からWebへの移行率は、全予約のうち、ネット予約やLINEなど電話以外の入口で完了した予約の割合として数えます。電話で相談を受けたときにWeb予約へ案内した件数も、あわせて記録しておくと、案内の効果が見えます。割合が上がれば、電話の負担が下がっていると読めます。
数字の相場は、公的な資料や出典のある調査で確認できたものがないため、この記事では示していません。まず自院の数字を3か月ほど続けて取り、前の月と比べて動きを見るのが現実的です。ホームページ側の数字の見方は、婦人科のホームページで見るべきKPIにまとめています。
- 先週1週間の着信数と不在着信の件数を、電話の履歴から数えて書き出す
- 予約を希望した連絡の件数と、予約が確定した件数を、同じ表に記録しはじめる
- 不在着信の折り返し担当と、履歴を見る時間帯を決める
婦人科の電話対応を予約ツールで補うときの個人情報の取り扱い
ネット予約やLINE予約を入れると、患者さんの個人情報を院の外のサービスに預けることになります。ここでは、個人情報保護委員会などの一次情報をもとに、ツール選びの観点を示します。
利用目的を決めて知らせる
個人情報保護委員会の通則編は、個人情報を取り扱うときに利用目的をできる限り特定すること、取得したときは、あらかじめ公表している場合を除いて、利用目的を本人に通知または公表することを求めています。厚生労働省と個人情報保護委員会のQ&Aでは、利用目的を院内掲示などで公表する場合に、単に掲示するだけでなく、受付で注意を促したり、必要に応じて改めて説明したりすることが求められるとしています。
予約フォームやLINEの案内にも、利用目的を載せておくと、院内の運用と揃います。確認先は、個人情報保護委員会の通則編ガイドラインと、医療・介護関係事業者向けガイダンスのQ&Aです。
症状や病歴は要配慮個人情報になり得る
通則編は、病歴を要配慮個人情報の1つとして挙げ、法が定める例外を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで取得してはならないとしています。予約フォームで症状を尋ねるときは、何のために使うのかを示し、必要以上に聞かない設計にします。院内の運用が、同意を得る流れになっているかは、ガイダンスと照らして確認してください。
外部サービスに預けるときの確認
通則編は、個人データの取扱いを委託するときは、委託先に対して必要かつ適切な監督を行うこと、また、個人データの漏えいなどを防ぐための安全管理措置を講じることを求めています。予約ツールを選ぶときは、データの保存場所、アクセスできる人の範囲、契約の内容、事故があったときの連絡の流れを、提供会社に確認するとよいでしょう。条文の細かい解釈は、顧問の弁護士や個人情報保護委員会の相談窓口にご相談ください。
- 利用目的を決めて、予約の案内に載せられるか
- 症状などの入力項目を、任意や選択式にできるか
- データの保存場所と、アクセスできる人を確認できるか
- 電話の予約と、同じ台帳で管理できるか
婦人科の電話対応と予約に使う電話番号の計測方法
電話の入口がどれだけ使われているかは、Googleビジネスプロフィールとホームページの2か所で、電話ボタンのクリックとして見られます。ここでは、公式ヘルプの内容をもとに説明します。
※Googleビジネスプロフィールとは、Googleマップや検索結果に出る、院の紹介欄です。
Googleビジネスプロフィールの通話数
Googleビジネスプロフィールのヘルプでは、パフォーマンスの指標のうち「通話数」を、ビジネスプロフィールの通話ボタンがクリックされた回数と説明しています。この指標を追跡するには、電話番号を追加する必要があるとされています。通話ボタンのクリック数であり、実際に通話がつながった件数とは別です。
地図検索の整え方は、婦人科のMEO対策をご覧ください。確認先は、Googleビジネスプロフィール ヘルプ「パフォーマンスとインサイトを確認する」です。
ホームページの電話ボタンのクリック
Googleアナリティクス4の拡張計測機能で自動収集されるイベントとして、ヘルプには、ページビュー、スクロール、離脱クリック、サイト内検索、動画エンゲージメント、ファイルのダウンロード、フォーム操作が載っています。電話番号のリンクのクリックは、確認したページの一覧には含まれていませんでした。そのため、電話ボタンのクリックを数えるには、別に計測の設定をする前提で考えます。
Googleタグマネージャーのヘルプによると、クリックのトリガーは「リンクのみ」などを選べ、「一部のクリック」を選ぶと、Click URLに特定の文字列を含む場合だけ発生するように条件を指定できます。ヘルプの例は「/path/to/promo」を含む場合で、電話リンクの記載はありません。
電話リンクは「tel:」で始まるため、この条件の仕組みを当てはめて、Click URLに「tel:」を含むクリックを数える設定が考えられます。これは編集部の整理で、実際の設定は制作会社や担当者と、画面で確かめながら進めてください。
どちらの数字も、クリックされた回数であり、通話が成立した件数ではありません。電話の履歴の着信数と並べて、前の月と比べる使い方が向いています。
※Googleアナリティクス4とは、Googleが提供する、サイトを見た人の数や動きを調べるアクセス解析ツールです。
※Googleタグマネージャーとは、計測用のタグをまとめて管理できるGoogleのツールです。
婦人科の電話対応と予約でよくある質問
電話対応と予約の仕組みについて、院長・事務長からよくいただく4つの質問にお答えします。
電話予約をやめてネット予約だけにしてもよいですか?
電話しか使えない患者さんもいるため、電話の入口は残すことをおすすめします。ネット予約を主にして、電話は予約の相談や急ぎの連絡に絞る、といった役割の分け方が現実的です。院の患者層と受付の体制を見ながら、段階的に切り替えてください。
自動音声(IVR)を入れると患者さんは離れませんか?
今回確認した公的な資料には、自動音声の導入が離脱に与える影響を示した数字は見当たりませんでした。案内が長いと、途中で切られることも考えられます。入れる場合は、案内を短くし、受付につながる選択肢を残して、不在着信の数が変わるかを測ってください。
LINE予約を使うと個人情報の面で問題はありませんか?
個人情報保護委員会の通則編が求める、利用目的の特定と通知・公表、要配慮個人情報の取得時の同意、委託先の監督、安全管理措置は、LINEでも同じです。予約の案内に利用目的を載せ、症状の入力は任意にするなどの設計を行ってください。具体的な運用は、サービスの公式の案内と、顧問の専門家に確認するのが確実です。
電話の取りこぼしはどのくらいの割合が普通ですか?
公的な資料や出典のある調査で、婦人科クリニックの不在着信率の目安は示されていません。他院の数字より、自院の数字が前の月からどう動いたかを見るほうが、判断の役に立ちます。
婦人科の電話対応と予約の取りこぼしを防ぐまとめ
電話対応と予約の取りこぼしは、現状を数えて、電話以外の入口を足し、また数えて確かめる流れで改善できます。まず不在着信の件数を数え、予約の入口を1つ増やして、予約完了率の変化を見る。これが、無理なく続けられる進め方です。
- 離脱は、つながらない・営業時間外・混雑・電話で言いにくいの4つの場面で生まれる
- 対策は、電話以外の入口を足し、電話の中身も整える。婦人科では非電話の導線が特に大切
- 着信数・不在着信・予約完了率・Web移行率を、定義を決めて毎月記録する
- ツールは、利用目的の公表、要配慮個人情報、委託先の監督を確認して選ぶ

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更新履歴
- 2026年10月20日 本文を公開しました
- 2026年10月20日 専門用語に注釈を追加しました
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